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退去時にトラブルも?!テナントが立ち退いた後に必要な「原状回復」とは? 2017.11.24

退去時にトラブルも?!テナントが立ち退いた後に必要な「原状回復」とは?

商業ビルやオフィスビルを借りて店舗として入居するテナントは、契約を解除し立ち退いた後に「原状回復」が求められます。
今回は退去する際にトラブルを起こさないためにもしっかりと把握しておきたい原状回復義務について解説します。



★そもそも現状回復とは?住居利用とテナント利用における違いは?


原状回復とは、賃貸契約が解除されて賃借人が貸主に借りていた物件を明け渡す際に、契約前の原状に戻した状態で返すという賃借人の義務です。
一言で原状回復と言っても、実際には住居利用である場合とテナント利用である場合とでは義務の重さが異なっています。
賃借人が個人であることがほとんどの住居利用としての契約である場合には、事業用として借りるテナント利用の契約と比べて原状回復義務の効力が弱まるのです。
これは住居利用の場合には消費者契約法が適用されることが要因しています。
強い立場にあると考えられる賃貸人に対して、消費者である賃借人は弱者とみられて保護されることで、原状に回復する内容への制限や義務として担うべき効力が弱くなっているのです。
そのため、一般的には賃借人に対して社会通念上持つべきと考えられる最低限の注意を払い、使用するという注意義務となっています。



★どこまでを現状回復しないといけないの?


テナント利用の場合には住居利用の場合とは異なり、より厳しく原状回復することが求められます。
生活の場である住居として使用する際には貸主が使われ方の限度をある程度、想定することができますが、
テナントとして使用する場合には賃借人の意向により使われ方に大きく幅があり事前に想定しにくいものです。
内装をほとんどいじることなく原状に近い状態で使用するケースもあれば、間仕切りを多く追加し、
床から天井までさまざまな部分の内装を工事したり、電気配線や設備の工事をしたりするケースもあります。
このため、貸主が原状を回復する負担を事前に想定することは難しく、それに見合った賃料で契約することが不可能であると考えられ、
明け渡しの際には基本的に、ほぼ原状に近い状態まで回復するというルールとなっているのです。



★トラブルになる前に!原状回復の取り決めを把握するためには、契約書を!


より原状に近い回復がテナントの貸借におけるルールとなってはいますが、汚れや傷みについての判断は人の目では難しいこともあります。
また、事業で扱う物件については契約を重視した自由を認める「契約自由の原則」があります。
このため、どこまでを原状回復しなければいけないかについては最終的に当事者同士の契約内容に従うこととなっているのです。
いざテナントを明け渡す際に事前にお互いが同意し、把握していた契約内容に認識の違いがあるなどのトラブルが生じる例も少なくありません。
賃貸借契約の際には、必ず取り決めた内容について契約書という形で文書に残しておくことが大切です。
また、契約書に引き渡しや原状回復の基準が既に記載されている場合でもその内容に、道理に合っていない条項がないかどうかをしっかりと確認しておきましょう。

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